愛され秘書の結婚事情

「あの、父よりも弟の方が、今回の央基との件には怒っていて……。あの子は央基に憧れていますから、私が彼の求婚を蹴ったことが許せないみたいで……」

「ああ、そうなんだ」

「……だから、悠臣さんに対して失礼な態度を取るかもしれません。というか、取ると思います……」

「そう」

 まるで気にしていない顔の悠臣を見て、七緒は怪訝な顔をした。

 するとそんな彼女を見て、悠臣はニヤリと笑って答えた。

「心配しなくていいよ。きっと弟くんよりもっと、僕の方が失礼だから」

「え?」

 驚いた七緒を見つめ、悠臣は軽くウィンクした。

 彼には時々こうやって、人を煙に巻く悪い癖があった。

「じょう……じゃなくて悠臣さん。今の言葉は一体、どういう意味ですか」

 七緒が顔色を変えて詰め寄ったが、悠臣は涼しい顔でそれを無視した。

 直後、タクシーが実家前に着き、七緒は渋々車を降りた。
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