愛され秘書の結婚事情

「えええっ!?」

 また信じられない話が飛び出し、七緒は反射的に立ち上がっていた。

 そんな彼女を見て、悠臣は愉快そうにクスクス笑った。

「昨日と逆だね。今日は僕が君を驚かして、君が椅子から立ち上がった」

「え、あ……」

 昨日の朝のミーティングを思い出し、七緒はバツの悪い顔で椅子に座り直した。

「まさか昨日の仕返しですか」

「まさか。本気で言ってますよ」

「……本気で私と一緒に住むと、そう仰っているんですか」

「そう仰っています」

 明らかにからかい口調で返され、七緒はまたムッとした。

 けれどそんな彼女を見て、悠臣はますます楽しげに口元を緩めた。
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