悪役令嬢になりきれませんの。
猫に気を取られた令嬢





お昼過ぎ。
私、シャルネラ・マルフィード(15歳)は、アルファーナ国の北にある、父が領主のマルフィード領土で、我が国が誇るアルファナ学園に入学するために必要な一式がそろう【アラベルル】と言うお店にお母様と自家用馬車にのって店の前に到着したところです。






御者が扉を開けるのを待ち、馬車の出入口から近い私が先に降りることになったのです、が……私ったら……馬車から降りる時、ある物のせいで足元をみておらず……踏み台を踏まずに足を滑らせ馬車から転倒してしまいました……




フワフワの三角に丸みを帯びな耳、愛くるしいくるりとした目。両手で包み込めそうなもふもふの体……白色だだたはずの毛玉は薄汚く汚れ震えている……あぁ、可哀想に……私が転がり落ちたのは、アナタのせいではないのに……シッポを足の間に挟んで……怖がらせてごめんなさいね。



地面に体をぶつけた痛みと同時に悲鳴に近いお母様の声が聞こえてくる。





「シャルネラちゃん!?シャルネラちゃんしっかり!ラルラちゃん!お医者様を読んできてちょうだい!!」



「は!はい!奥様!!」




ほっそりとした少しつり上がった目に涙を浮かべ少し残念美女になりかけているお母様……そんなお母様に声をかけられ、返事をして勢いよく駆け出しもう背中も見えなくなっている私専属のメイドのラルラ……あぁ、視界が……頭が割れるように痛いです……



このまま死んでしまうのでしょうか……いいえ、私は死にません……だって、あの可愛らしい子猫……




「…かあさま……っ……あの子……私のペットに……」



「え、あっ、ねぇ!シャルネラちゃん!?」




意識を失う前、ちらっと見えた真っ青な顔をした御者さんとお母様……




フフフ……お母様。つり目を丸くし驚く程にあの猫が可愛かったのでしょうね。ですが、あれは私のモノ……誰にも譲りませんことよ……




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