悪役令嬢になりきれませんの。
うざいってほどに連呼しますやん……。って、令嬢






引きずられるままに着いた先は王太子様のお部屋でした。







アウトじゃね?アウトだよね?〖婚約者になるのだからな!!〗なんて言われただけで正式には婚約者にもなっていない。と、いうか、お父様とお母様がこの話を流して(なかったことに)してくれるだろう。そうであることを祈る。






それにしてもだ……婚約者で会っても男性の部屋に入るなんて淑女としてもダメだ。それに、変な噂になっても大変だ。







「何をしているんだ?中に入らないのか。」







なんて、部屋の入口で足を止めている私を不思議そうにしている王太子様。私はにっこりと微笑みやんわりと断る。






「私などがアルファーナ殿下のお部屋に入るなど……私はここで結構ですわ。」




「遠慮すんなって!ほら、来いよ。あぁ、なるほど!俺がイケメンすぎて部屋に入ってこれねーんだな!!だがすまない、このイケメンオーラは自由に切り替えることが出来ないのだ。シャルネラ、前世でも俺は、ブスだのなんだの言われていたが。あれは絶対俺がイケメンすぎて嫉妬していたに違いない!!シャルネラ!心配することは無いさ!イケメンの俺のそばにいても君の美しさが廃ることは無いよ。なぜなら君はこの僕より美しくはないが君もまぁまぁ美しいのだから!!まぁ、俺の下だがね!!」






何こいつ、ちょーウザイ。なんて、にっこり微笑み更に軽く断りを入れる。そしたら、何度も何度も自分(王太子)がどれだけ美しいか、を全身を使って語ってくれた。それをどこからが現れたラルラとシラケためで眺めていればハッとした顔で私のところに来たかと思えば私の両手を掴む。





それが許せないのかラルラが王太子の手を払い除ける。不敬罪にならないか心配していたが……王太子は気にした様子もなく更に私に近づき肩を掴む。その、手が力強く少し痛かったがあまりにも近くて何も出来ずにいれば、王太子が口を開く。






「結婚する時のお金か!?確かに、伯爵だとすれば地位も権力も財力も……中間だな……大丈夫だ、何も心配なんていらない!!俺は、王族だ!金や地位は腐るほどある!!あぁ、それから、君が俺の妃になれば君の領土に多額な寄付を……っ!?」






「お嬢様!!」





ラルラのとても嬉しそう?な声が耳に入ってきて私は自分の手がジンジンしていることにハッとなる。が、後悔はない。私は振り下ろされてじんじん痛む手をそっと胸の前でもう片方の手で撫でる。未だポッカァーンと右頬を赤く染めた王太子を睨みつける。






「私はともかく、お父様とお母様、それに、領民(家族)を悪くいうのはやめてくださいませっ!!今、貴方にお金や地位、権力があるのはご両親がいらっしゃるからでしょ!貴方にお金、地位、権力があるのは国王の息子だからよ!よその国では強いものが国王になるって言う国もある。もしここがそういうシステムの国だったら〖王太子〗って地位も無くなる。あなたみたいに〖ここからここまで〗の買い物ができないの!……あぁ!!もう!何が言いたいか分からなくなったわ!!いい!?私が言いたいのは!!いつまでもあると思うな親と金!!いずれはあなたが王様となってこの国を背負うのよ!時にはその地位や金を犠牲にしないと行けないことだってあるの!!えっと……とにかく!私を婚約者にしたければ自分の足と手で金を稼いで出直してこい!!」







なんて、言い切った私にラルラが何故か拍手をしている。途中キット何が言いたいの?ってなっているだろうに、何故このメイドは感動しているのだろうか……あれかな?自動通訳みたいな便利なものがあるのかな?言った言葉がそれっぽく美化されて伝わる。てきな。






なんて、ラルラを見ていれば王太子が殴られた頬を抑えながらもユラユラと窓の方に歩いていく。私は部屋の外でそれを見ていれば、王太子は私たちの方に体を向け、私を無表情でみる。






「僕のイケメンな顔に何をするんだ!!お父様とお母様にも殴られたこと……はあるけれど、お母様とメイド長以外の女に殴られたことなんてない!!僕の顔に傷が出来たらどうしてくれる!!」








いや、メイド長最強かよ……
なんて思っていれば王太子はククク……と、悪者宜しくな笑い方をしてニィーと笑う。






「君は僕の婚約者だ。そして、僕の美しい顔を殴ったことへの償いをしてもらう。あぁ、大丈夫。君は薔薇より美しすぎる僕の顔をみて、僕と死ねるのだから償うより……最高の幸せだよね?あ、いや、ある意味災厄だよね。僕のそばにいたら君の美しい顔が廃るのだからね。」







もう、何言ってるのか分からない。私はすぐにでもメイドから暗殺部隊にクラスチェンジできそうなほど、殺気を出してるラルラを片腕で止めながらもただ、冷めた目で王太子(ナルシスト)を眺めていた。

















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