太陽に抱かれて

「ふ、ぁ……ムッシュ、…………」

 シモンの頭を掴む手が、強くなる。オー・デ・コロンの香りと、かすかに苦い煙草の香り、それから、シモンの肌のにおい。すべてがももの目の奥をジン、ジン、と溶かし、興奮を助長していく。
 一方は、舌先で、全体で、あるいは唇で淫らにほぐされ、一方は指で扱かれる。脚の間が疼く、頭がぼうっとして、呼吸はどんどん浅くなる。

「ん……、んっ…………」

 ザラついた指先と、ねっとりとした舌の感覚、それから、繊細な手のひらと、獣のような唇。すべてがももを責め立てる。ちゅ、ちゅ、と控えめに音を立てていたのが、やがて、ちゅぷ、ちゅぷっとはっきりとした淫靡な音に変わり、いよいよぴりりとした痺れが絶え間なく訪れる。

「ぁっ……も、こんなの…………っ」

 達し(イッ)てしまう。胸以外、どこにも触れていないというのに。かつて感じたことのないほどの、快感。
 例えるなら、もうすでにももは熟した果実だった。真っ赤に艶々と輝いて、今にも弾けそうにその実を膨らませている。

()いか?」
「っウィ、ムッシュ……っ」

 彼が今どんな顔をしているのか、なにを考えているのか、ももにはわからない。この行為に、愛があるのかも。だが、そんなこと、もうなんでもよかった。

 シモンが乳頭をきつく吸い上げた瞬間、

「っああ……」

 ひときわ高い声を上げて、ももは身体をわななかせた。

< 44 / 45 >

この作品をシェア

pagetop