契約結婚の陰に隠された真実の愛〜言葉に出来ない気持ち〜
「ずっと此処にいろ」

「でも・・・」

「亜実はさっきからでもが多いな」

「社長、私がここに住むのはやっぱりまずいですよ、社長が結婚が決まったら・・・」

そこまで言いかけて彼は私の言葉を遮った。

「俺の名前は社長ではない、それから、女と一緒に住んでいると言って結婚承諾する奴はいないから大丈夫だ」

「社・・いえ、柊さん、女性と一緒に住んでいると言ったら駄目ですよ」

「本当のことを言って何が駄目なんだ」(俺の亜実に対する気持ちは二度と言葉にしないと誓った、亜実を失いたくない、愛してる)

「それじゃずっと柊さんは結婚出来ないですよ」

「独身貴族も悪くないな」(お前がそばにいれば何もいらない)

「柊さん」

「滝沢に連絡して、今すぐ引っ越してこい」(一分一秒も亜実と離れて暮らせない)

彼は滝沢さんに連絡した。
程なく滝沢さんがやってきた。

「お待たせしました、どのようなご用件でしょうか?」

「亜実と一緒に生活するから、引っ越しの手続き頼む」

「亜実さんは了解してますでしょうか」

「了解済みだ」

私は思わず口を挟んだ。

「あのう、社長が結婚決まったら私出て行きますから・・・」

それに彼は付け足した。

「俺が独身の間はずっと亜実はここで生活する」

「早く結婚決めてくださいね」

「俺の勝手だ、それに相手が断ってくるんだから仕方ないだろう」

私は言葉とは裏原に、ずっと結婚が決まりませんようにと祈った。

滝沢さんが口を挟んだ。

「あのう、引っ越しの手続きは進めてよろしいでしょうか」

「頼む」

私は彼と生活を共にすることになった。



















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