ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方


『そうなんだ・・・・いいなぁ~、ダンナさんとはどこで・・って久しぶりに会うのに突っ込みすぎだよね・・・』

「いいえ、こういうやり取りも懐かしいです。主人とは前の職場で知り合って。職種は違うんですけど。」

『もしかしてお医者さん?』

「いえ、そんな・・・・放射線技師です。レントゲン写真とかを撮影するスタッフなんです。」

『職場結婚か~。だからこの病院に移った?』


羨ましさを隠せないあたしの問いかけに照れくさそうに笑う蒼井
バレーボールを真っ直ぐに追いかける少女だった彼女が
落ち着きのある大人の女性になったのを痛感するその笑顔

入江先生が蒼井の結婚を知った時
どんな想いだったんだろう?


『ねえねえ、そうなの?どうなの?』

そんなことを心の中で考えていることを隠そうとするために
彼女と1オクターブぐらい高い声で言葉を交わした。

高校時代、無邪気に雑談していた頃のように。



「そうなんです・・・なんか恥ずかしいですね。そういえば、高島先輩、数学教師になって、入江先生と一緒の学校に勤務されているんですね。」

『えっ?蒼井、よくご存知で・・・』

「あっ、驚かせてすみません。実は、ちょっと前、偶然、入江先生でバッタリと出会って。」


やっぱり入江先生か
でも、蒼井に言ったんだ
あたしと一緒の学校で働いていることを・・


「入江先生、嬉しそうに話してくれました。よくやってくれているって。」

『そんなこと言ってたんだ、入江先生・・』

「ええ・・・改めて羨ましいと思ったぐらい。」

『・・・羨まし・・い?』


入江先生が好意を寄せている相手のはずの蒼井なのに
あたしのことを改めて羨ましいなんて・・・・


「ええ、高校生の頃からずっと羨ましいと思っていたんです。入江先生の傍にいる高島先輩のことを。」

羨ましいと言いながらも穏やかに笑った蒼井。


『あたしが?・・・なんで?』

「先輩は部活の時の入江先生だけじゃなくて、教室での先生を知っているから。」

『あっ、入江先生、あたし達の学年の受け持ちだったもんね。』

「そうなんです・・・・高島先輩は入江先生が授業中にこんなことを言っていたとか、校外学習でお弁当のおかずをひっくり返した入江先生におかずを分けてあげたとか・・・・・なんであたし、1年早く生まれなかったんだろうって想わされるぐらい。」


驚いた

蒼井がそんな雑談をずっと気にかけていて
入江先生の受け持ち学年の生徒でいたかったなんて思っていたことを・・・

やっぱり蒼井は入江先生のことがスキだったんだ

あたしは蒼井が羨ましかったのに
ずっと入江先生の心の棲み続けている彼女が・・・・


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