ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方



『あっ、あたし・・・・』

珍しく驚きを隠せていない声であたしを呼んだ入江先生に
あたしも慌てて彼の背広を掴んでいた手を離した。


「高島・・・こういうのは、彼氏に対してやるもんだぞ。」


こっちを向いてくれないままでいる入江先生。

表情がわからないけれど
その声はまるで子供を諭すよう

背広を掴むとか・・・思いっきり “帰らないで” っていう無言のアピール
入江先生はそのことを言っているんだ

半ば無意識の行動だけど
今、この瞬間もあたしはこのまま帰って欲しくないって思ってる



『あたし・・・彼氏なんて・・いないです。』

「・・・・・・・・・」


まだ背を向けたままの入江先生。


『あたしのスキという気持ちのベクトルの向きがズレた結果、入江先生のほうに向いているんじゃない。』

「・・・・・・・・・」

『あたしのベクトルは元々入江先生に向いていてズラせなかったんです・・・・・入江先生の目の前に蒼井が再び現れたことを知ってもあたしはズラせなかった。自分の気持ちのベクトルを・・・・・やっぱり入江先生がスキだから・・・』


あたしの人生2度目の告白は
人生初めての告白をした相手と同じ人で
一度フラれた人

その人はやっぱりあたしに背中を向けたままで
言葉もなかなか発してくれなかった。


多分、入江先生は何かを考えているはずとわかってたはずなのに
この沈黙状態に耐えられなかったあたしは

『ごめんなさい・・・あたし・・・』

バカのひとつ覚えみたいに謝ることしかできなかった。



ついさっきも謝って
入江先生に “なんで謝るんだ?” と言われたばかりなのに

謝ることも
告白することも
繰り返してしまうあたしに
入江先生は愛想を尽かしてしまった?




「高島・・・・」

『は、ハイ・・・・』

「そろそろケジメ、つけなきゃな・・・・」



ケジメ・・・?!



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