ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
『ありがとうございました。もう大丈夫そうです。』
「階段の下りは大丈夫か?」
『多分、大丈夫です。無理そうならお尻をついて降りますから。』
「尻か・・・・なんだか凄いことになりそうだな。」
『そうなってもいいように、人けのない朝早い時間に動きます。鞄もありがとうございました。』
入江先生の手をかりることなく階段を昇り切った安堵感もあり、彼が持っている自分の鞄のほうにすんなり手を伸ばした。
「そうか・・・・・でも、もし明日、やっぱり仕事無理そうなら、朝、早くてもいいから電話してくれ。授業の調整とかするから。」
入江先生は心配そうな顔をしながら、あたしの鞄を差し出してくれた。
『・・・・休まないから大丈夫ですよ。』
「無理するな。無理したから、今のこの状況があるんだろ?」
『でも・・・・』
「そういうのを調整するのが、俺の仕事でもあるんだから。」
そう言ってくれた入江先生があまりにも優しい顔をしていて。
『・・・ありがとうござい、、、ます。』
「それじゃ・・・・お疲れ。また明日な。」
そう挨拶を交わした直後、あたしに向けられた入江先生の背中によって胸がギュッと揺らされて。
「高島?!」
あたしの右手は入江先生の背広の裾をギュッと掴んでしまっていた。