ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方



「その生徒はバレー部を辞めた生徒がいなくなり、戸惑いを隠しきれていなかった僕をすぐ傍で元気づけようとしてくれた人で・・・・・・」


あの頃、あたしも入江先生を元気付けようと頑張ったつもりだけど
そんな生徒が他にもいたんだ・・・

あの頃から入江先生は
学校一モテる教師の稲葉先生に遜色ないぐらい人気があったから・・・


そんなことをぼんやりと想い出していたあたしの耳に

“その生徒も女子生徒なんですかっ?”

突然生徒達が座る席のほうから聞こえてきた悲鳴混じりの女子生徒の声が滑り込んできた。


「私語は慎むように!!!!」

すぐさま教頭の注意が入るという異例の離任の挨拶。


それでも入江先生は生徒の目線を大切にする彼らしく

「そうです。」

生徒の問いかけにちゃんと応対した。


いつもは私達教師達の前でも私的なことは自分から殆ど口にしない入江先生。

“入江先生、どうしちゃったの?”
“最後だからって言ってたけど・・・・”

再びざわつく生徒達からは入江先生を心配する声も上がるぐらい。


でもそれらに構うことのない入江先生。


「でも、僕は彼女のことに気を遣ってやる余裕がないぐらい、バレー部を辞めた生徒をずっと気にかけていた。愛しいという気持ちも抱くぐらい。」

『・・・・・・・・・・・』

そのざわつきは彼の言葉であっという間に収まった。


・・・愛しい
その言葉に生徒達も衝撃を受けたのだろう


彼らだけではなく
あたしも・・・・


入江先生の蒼井に対する気持ちを
こういう公の場でハッキリと聴いたことに
あたしも衝撃を受けたんだ


なんで今、教師という立場なのに
この場でその気持ちを公にするのかな・・・・?って



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