ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
でも、今の入江先生の言葉で
蒼井に対する気持ちをただ単に公にしたいのではないことはわかった
それを話したのはこれから彼が言いたいことの序章だっただけであることも
おそらく、入江先生は
自分が支えられていた当たり前の状況に感謝することが大切ということを生徒達に伝えたいんだろう・・・・
この時のあたしは
入江先生がここからいなくなるから寂しいという気持ちよりも
この高校での最後の授業を
彼はどう進め、そしてどう終えるのかを知りたいという気持ちが勝り始めていた。
だから、いつもと違う入江先生の言葉に更に耳を傾けた。
後輩教師として、絶対に聞き逃したくない・・・と。
そんなあたしの期待に応えるかのように、壇上の入江先生は
「それに気がついたのは、僕を支えてくれた生徒が教師となって再び僕の前に現れ・・・・」
彼の挨拶の冒頭にあったような迷いとかは一切感じられないような真っ直ぐな瞳で前を向いて言葉を紡ぎ続けていた。
それも聞き逃さなかったあたしは反芻するように呟いた。
『再び僕の前にって・・・・』
入江先生を支えていた生徒が
教師という立場になって彼の前に現れた
「彼女がすぐ近くにいることが再び当たり前という状況になった中で・・・いろいろなことがあって・・・僕はこの人にずっと支えられて今、ここまで来れたんだと思い知らされたから・・」
彼女がすぐ近くにいることが再び当たり前の状況・・・って
僕はこの人にずっと支えられて今、ここまで来れたんだ・・・って
あたしの勝手な思い込みなのかもしれないけれど
この人って・・・
まさか、あたしじゃない・・・よね?