ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
入江先生に本当に大切だと想われる
その人が正直羨ましい
誰なんだろう?
同じ学校にいると思われるその人は・・・
“入江先生~。どうして、大切な人を失わないために、この学校からいなくなるんですか?今、すぐ傍にいるんですよね?”
矢継ぎ早に飛んでくる生徒達の問いかけに対して
とうとう俯いて苦笑いを浮かべた入江先生。
多分、彼にとっても
痛いところをつかれたんだと思う
大人の事情というところを・・・
さすがに
教師同士とはいえ、職場恋愛みたいなもんだもんね
その恋を守るには
傍にはいられないよ
学校という場に教師は
恋を持ち込むようなことをするべきではない
それが大人の事情
でも、“せっかく傍にいるのに” という考え方ができる生徒達の純粋さも
正直羨ましい
高校生の頃の蒼井に嫉妬すらできなかったあたしなのに
純粋な気持ちでいられる高校生達が
羨ましくて仕方がないよ・・・・
「彼女が傍にいるのが当たり前という状況に甘え続けることをやめて、大切にしたいという自分のベクトルを彼女にちゃんと向けたい・・・そう思ったからです。本当ならば今の2年生の卒業を見届けてからと思っていたのですが、自分の気持ちをもうこれ以上、先延ばしにはしたくなかった。」
そして、今、もう一度前を向いてそう答えた入江先生が
大切にしたいという彼のベクトルをちゃんと向けたいという想いを寄せる人も
羨ましくて仕方がない
入江先生がここまでして掴もうとしている恋愛をしてもらえる人が
本当に羨ましいんだ・・・・
なんであたしは
こんなにも羨ましいと思うようになっちゃったんだろう?
なんでこんなにも
欲しいという気持ちが増えちゃったんだろう?
諦めなきゃいけないってわかっているのに
どうしてこうも往生際が悪いんだろう?
今日何度目かわからないぐらいの生徒達のざわつきの中で
そんな情けない疑問が浮かび、涙で視界が歪み始めた時
“その彼女って・・・・茜ちゃんだろ?”
生徒達の中からまた聴こえてきた声で
ざわついていた会場内が一気に静まり返った。