お助け部ッ☆
「続きましてー、エントリーナンバー12番!莉央ちゃんデース!!」
「かっわいー!」
「お人形みたい!!」
ちょこちょこと花道を歩く莉央さん。
どっからどう見ても、抜け目なく、女。
天使のような微笑みで、カメラに向かって投げキッスしてる。
「あの子、プロ?」
「【慣れ】です」
麻実さんの質問にそう答えたけど、慣れだけでカメラに向かって投げキッスなんて出来るもんなんだろうか。
「次はー、エントリーナンバー13番!【翔子ちゃん】デース!!」
「うわぁ!すごい美人だっ!!」
会場から、より一層大きな歓声が聞こえた。
「【翔子ちゃん】?」
よくよく目を凝らして見ると、
「あ、兄貴…」
だった。……………と、思う。
目を疑いたくなった。眼科に行って、検査してもらいたくなった。
……でもあいにく、ちょうど昨日に学校で行われた視力検査で、バッチリ両目2.0だった俺。
つまり、目に映ってるのは……現実。
「翔子ちゃーん!」
「こっち向いてぇ〜」
普通、そんなこと兄貴に言ったら……一生忘れられなくなる脳裏に焼きつくような目で睨まれる。と、姫さんが言ってた。
体験談だから間違いない。
でも、今兄貴は……
それこそ、一生忘れられなくなる脳裏に焼きつくような【素晴らしく美しい笑顔】で手を振っていた。
弟の俺ですら、超がつくほどレアな笑顔を。
今ここで、兄貴が振りまいている。
どうしよう。明日、隕石降るかも。
雨や雪だけじゃ済まされないよ、これ。
「あの子、プロ?」
「【欲の塊】です」
そう、兄貴がここまでする最大の理由は、“賞金”なんだから。