三年後に君がいることを俺は願う
「言った方がいいのかな?」

病気のことを言った方がいいのかさえもわからない。
だけど言ったらきっと泣くんだろうな。
ずっと一緒にいられると思ってた。
だけどあと一年。
卒業はできると思う。
だけど高校は一緒に通えないかもしれない。

「来年の春には………もういないのかな………」

長くとも一年。
だからそれよりも前に死ぬということもある。
覚悟を決めなきゃいけない。
運命に逆らいたくない。

「………未来、大好きだよ」

君のことが好きで………だけどかんじんのことなんて何も言えなくて。

〝未来を傷つけたくない〟

その感情が支配する。
私の心は未来でいっぱい。
病気のことなんて忘れそうになるくらい。
だけど未来がそばにいないとずっと頭の片隅にあって思い出すと怖くてたまらなくて………。

「未来のそばにずっといたい」

そんな感情が溢れる。
こんなのただのわがままだってわかってる。
だけどおさえられない。
未来と一緒にいたい。
死ぬまで。

「死ぬのが怖い………っ」

未来を一人にして死ぬなんて嫌だ。
怖い………っ!!

『小鳥………っ!』

あの笑顔、暖かい温もり、優しくて落ち着く声。
そのすべてが愛しい。
こんなに好きになったのはきっと初めて。

「小鳥、お待たせ!」

「やっほー、小鳥ちゃん!」

「未来と智君!」

今日はもう下校。
きっと夏休みあけたら忙しくなるんだろうな。
そして私は笑って二人に手を振った。



この時は当たり前に君の隣にいられると思ってた。
だけど違かった。
私は大切なものを失いたくない。
だから手放すんだ。
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