ずるい。


「得かどうか分かんないけど、私をたぶらかすのも、セットでどう?」

添えられた手に自分の手を重ねる。

「いや、先に俺がたぶらかされてるわ。」

そう言って、キスをした。何度も触れるような優しいキスをした。それは、次第にまぶたやおでこや鼻や頬にも落とされた。

「ふふっ」

いざとなると照れて仕方ない。
けれど、逃げ場はない。

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