アンティーク

「翼くん」

楽器をケースにしまい終えて、私はこの感情を本人に伝えようと思った。

「今日の演奏、本当に私にとって…………それってきっと翼くんが伴奏をしてくれたからだと思う」

「うん」

「これって……恋なのかな?」

「うーん……それは、恋とはまた違うかも。……音楽以外で、僕のことを考える時ってある?」

それは、私にとって意外な言葉だった。

翼くんなら、「うん」と言ってくれると思ったから。

「それは…………」

「ね、玲奈さん。好きって言う気持ちは多分すごく特別なことなんだよ。それを大切にしないと。玲奈さんが誰かと付き合ったって、僕は伴奏を弾くことは辞めないよ。でももし本当に僕のこと好きなってくれたら、その時は言って欲しいな」

「うん、ありがとう」

「気持ち、伝えられるといいね」

「うん」

レオくんの顔を思い浮かべると、急に心臓が早く動き出して、やっぱり私の好きな人は彼なんだと自分自身に言われているような気がした。
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