アンティーク
将生が言われた通り、俺は水色の折り畳み傘を鞄に入れて店へ向かった。

雨の日はただでさえ空の色が暗いものだから、せめて視界に入る傘くらい明るい色にしようと思って選んだのが水色だった。

しかし、その傘をさす機会はなく、さっきの雨は止んでいて、今は少し冷やっとした空気が流れている。

雨で出来た水溜りを歩くと、ぽちゃんと音がした。

「レオくん、こっちにおいで」

店に着くなり、店長にそう言われる。

俺は鞄を置いて直ぐに向かう。

「これね、友人が送ってきたんじゃが、一人じゃ食べきれなくてね。お友達と一緒に食べてくれたら嬉しいんじゃが」

そこには、箱に詰められた外国製のお菓子がたくさんあった。

俺がよく知っている、甘い甘いフランスのチョコも。

それを見ると、なんだか懐かしい気持ちになる。

「ありがとうございます。店長、時間があったら一緒に食べましょう。一人で食べるより、楽しいですよ」

「そうじゃな」

「そうだ。明日から、少し早めに来ますね」

俺は、店長からお菓子を受け取ると着替えを始めた。

このアンティーク店の、ゆっくりと時が流れるこの空間は、とても居心地が良い。

きっと、店長がそんな人柄だから店全体もそういう雰囲気になる。
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