アンティーク
「あ、じゃあ、あそこのレストランにしません?」
玲奈さんは、美術館の隣にある個性的な建物を指差す。
確かあそこは、有名なデザイナーがそのデザインを考えたものだったと記憶している。
将生が「じゃあそこにしようか」というと、俺たちは歩き出した。
すれ違うカップルや家族連れはみな笑顔で、それを見ていると自分も自然と笑みがこぼれる。
もし、俺が少し離れたところを歩いたら、あの2人は周りから見たらカップルに見えるのだろうか。
少し止まって、2人と距離を置いてみた。
しかし、その距離は伸びることなくすぐに将生に見つかってしまう。
「レオ、なにしてるんだ?」
「ごめんごめん。ちょっと探し物してた」
「なに? スマホでも無くした?」
「大丈夫ですか? 鳴らしましょうか?」
「いや、大丈夫」
要らない心配をさせてしまったと、反省する。
結局、自分の中に湧き出た問いの答えを得ることはできなかった。