アンティーク

だから、それを必死に消そうと言い訳の言葉を探す。

「好きとか、そんなんじゃないんだ。ただ、少し気になるだけで」

「そう」

アンティークが好きな彼女、純粋な彼女、優しい彼女。

だから、一緒にいると心を許してしまう。

好きなものが同じだから、自然と警戒感が薄れてしまう。

それが、好きってことなのか分からない。

彼女のことをもっと知りたいとか、そんなことは思わない。

ただ、一緒にいるときは彼女が気になってしまうんだ。

俺に向けるその顔、言葉、それだけじゃなくて俺以外の人に取る態度にですら、気を取られてしまう。

「もしかしたら、本当に彼氏がいるかもしれないよ。音楽学科のことは全然知らないし」

「まあ、ね」

それなら、それでいい。

むしろ、その方がいいかもしれない。
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