アンティーク

「これ、今食べてもいいですか?」

大学内のカフェは、基本的に持ち込みは大丈夫で、私は何故かこれを今すぐにでも食べたい衝動に駆られる。

カフェというよりは、ラウンジといったほうがしっくりくる。

「美味しくなかったら残してもいいから。無理しないで」

私は、それを袋から取り出した。 

手に持った感覚でもうそれが柔らかく絶対に美味しいということが伝わってくる。

見ると、それはフルーツサンドだった。

一口食べると、生クリームと、苺の甘みと酸味が程よく絡み合っていて、美味しい。

それに、この食パンもふわふわしてパンの密度が高く、今までに食べたサンドウィッチの中でその味は一番だと思う。

「美味しいです。すごく、本当に」

「よかった」

ーーわあ…………。

初めて、ちゃんと笑うところを見た。

口角が上がって、目尻が下がって、その顔を見ると心臓がドキドキと音を立てる。

見える風景が、一瞬で変わる。

エフェクトがかかったように、なんでもないこの大学の景色の色彩が鮮やかになる。
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