アンティーク
これ以上一緒にいるのは、心臓がもうもたない。
「わ、私もう行きますね」
だから、この場を離れようとした。
「え、もっとゆっくりしたらいいのに」
「練習室、30分以上は空けちゃダメなので。練習室って混むんです。サンドウィッチありがとうございました、本当に美味しかったです」
「そう。じゃあ、俺も戻るよ」
先に、将生さんが椅子から立ち上がる。
それに続いて私も立ち上がった。
「じゃあ、また」
「はい」
音楽棟に向けて少し歩いたところで、後ろを向く。
コーヒーを持って美術棟の方に戻る将生さんの姿を、私はその場でじっと見つめてしまっていた。
なんでだろう、他の人よりも輝いて見えるのは。
目が離せないのは、どうして…………。
「玲奈さん?」
「わっ。あ、レオさん」
突然名前を呼ばれたから、驚いて変な声を出してしまう。
「どうしたの?そんなに慌てて。何かあった?」
「いえ、何も」
どうしよう、レオさんの目が見れない。