アンティーク

案内された席に座ると、早速テーブルに開かれて置かれてあるメニューを見る。

「エビチリ美味しそう」

中華の定番のエビチリは、やっぱり欠かせない。

「春巻きは?」

ありさはもう1つの同じメニュー表を見て、やっぱり定番のそれを指さしていた。

「たくさん食べてたくさん寝たらきっと大丈夫」

ありさは、持ち前の明るさで私に笑顔を取り戻させてくれる。

彼女の吹くトランペットも、彼女のような力強く真のある音が特徴で、その輝く金色の楽器に相応しい。

2人で5品ほど注文して、それを首を長くして待つ。





待ちに待った料理が目の前に運ばれてきた。

それを2人分に分けると、私は早速それを口の中へと運ぶ。

「んん、美味しいっ」

エビのプリンとした食感、春巻きのパリッと揚げられた皮、ピーマンのシャキシャキとしている青椒肉絲、全てに満たされる。

甘辛いものを全て食べ終わると、次はデザートの時間だ。

杏仁豆腐を口に入れると、その濃厚な甘さが口の中に広まる。

だけどその甘さは、変に口の中に残らない。

「良かった。元気そうで」

「うん、ありがとう。ありさのおかげだよ」

食事の最後には独特な香りのする中国茶が運ばれてきて、それを飲んでほっと一息ついた。
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