花はいつなんどきも美しく
そう思って、缶コーヒーとりんごジュースを買ってその場から離れることにした。


「……岩本さん」


りんごジュースを取り出し、帰ろうとした瞬間、園田雪に呼ばれてしまった。


その声は小さかったから、足を止めていなかったら聞こえなかったふりができたのに、立ち止まってしまっては逃げられない。


ロボットになったみたいに、鈍い動きで首を動かす。
園田雪は弱った目で私を見上げている。


「フミ君と連絡取れますか……?」


一瞬考えた。
園田雪がなにを言っているのか、よくわからなかった。


「はあ……?」


まあ、最悪な態度だろうけど、これ以外にふさわしい反応はないだろう。


そして右手の人差指を園田雪の額に当てた。


「何を考えてるのか知らないけど、私とあの男はもう終わってるの。あんたたちの恋愛に、これ以上私を巻き込むな。わかった?」


園田雪はぽかんとしている。


……失敗したか。
いやでも、これは誰でも文句言いたくなるだろう。


男のくせにうじうじして。


「岩本さんは、強いから……好きな人と連絡が取れなくなって、不安になる気持ちがわからないんだ」


別にそこまで強くはないけど。
なんで今日はこんなに貶されるんだ、私は。
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