花はいつなんどきも美しく
隠そうとしてももう遅く、彼女たちまで照れている。


「ガチなやつだ……」
「ほ、本気でその人のことが、好き、なんですね」


正直、自分が一番戸惑っていると思う。


聡美ちゃんを可愛いと思っているのは、認める。
あれほど可愛く、美しく、かっこいい女性は、他に知らない。


ただそれには、恋愛感情なんてものはないと思っていた。


人として惹かれているのだ、と……


「そんな、まさか……」


聡美ちゃんのことが、好きとは思っていなかった。


「え、その反応……まさか自覚してなかったんですか!?」


あまりに過剰反応するから、周りのお客さんがどうしたのかとこちらを見ている。


慌てて人差し指を口に当てて沈めようとするけど、どうやら無理そうだ。


「無自覚で独占欲出してくるのは、ちょっと……」


初対面の相手に見せるとは思えないような、軽蔑するような目を向けてきた。
これはさすがに傷付く。


「……本気で引いてるわね?」
「私だったら、嫌です」
「そうかな……私は素敵だと思うな」


彼女の視線が、そのままその子に向けられる。


「千夏、マジで言ってる……?」
「たしかに、行きすぎた独占欲だったら嫌だけど、無自覚で私だけ特別扱いしてくれるなんて、素敵じゃない?」
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