冒険者の王子は 旅と恋する


「へー、じゃぁ、
 国境付近の森は侯爵様の敷地なんだ?」

「そうそう。だからなぁ
 冒険者が受付して入れるぐらいだなぁ。」

食堂に来ている冒険者らしいおっさんに声をかけた俺は
情報収集だ。

無精ひげのおっさんは、
親切にも地図をちょいちょいと書いてくれた。

「冒険者登録してないとはいれんぞ?
 ひょろっとしたそっちの連れと、
 戦えなさそうな友達と、
 坊主の三人じゃ、戦うのは無理じゃねぇのか?」

あー、確かにフィロスは細いもんな。
髪の色も淡い赤だから雰囲気 弱弱しい優男だしな。
王宮にいたときはキラキラしたピンクだったけど、
今は少し淡い赤って感じだな。
俺と魔力共有したから純粋な「火の魔力」が減ってるかもなぁ。

ジョイルは、おとなしそうに見えるからなぁ。
「結界」まで使える優秀魔導士なんだけど。

ま、俺は俺で 坊主だけど、
簡単にはやられないよ?自称 凄腕。

「だいじょーぶ。
 これでも冒険者だし。
 森も、奥に行かないようにするしね。
 いろんな植物があるんでししょ?」

「がはは、そうか。
 まぁ、あそこの森はいろんな貴重種がいるしな、
 薬草もほうふだしな。」
「精霊もいるし、魔力スポットもあるし
 魔石も薬草もおおいしなぁ。」
「欲張って魔族領に近づかなければ大丈夫よ。」
「あんまり奥に行くと黒の魔力が多くて
 こちらの生命力まで吸い取られるからきをつけな」


べつのお客さんも次々に教えてくれる。

ありがたい。


「そうなんだー。とりあえず、行ってみる。
 ありがとうねーー。
 おばちゃんも!ありがと!
 ごちそうさま!!」

待ち構えていたかのようにタイミングよくフィロスが立ち上がる。

「では、まいりましょうか。チェース君、ジョイル君。」
「・・・はい。チェース。
 荷物、どうぞ。」


ジョイルからひょい、と受け取って
フィロスは さっさと会計をして 外に出た。

さぁ、うわさの「森」というやつに
出発だーーー!
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