さよなら、片想い
 新春バーゲンに同行した友人たちには、その帰りの車内で岸さんのことを打ち明けるつもりだった。
 けれどももっと早くに言い当てられてしまった。

「結衣、雰囲気変わってない?」

 買い物袋と一緒に遅めのランチのテーブルについていたら、言われた。

「うちらのなかでは慎重な買い物をするほうなのに、ランチ前にもうそんなに服を買ってるって珍しいし。心境の変化でもあった?」

「男でもできた?」

「できてないできてない……じゃなかった! できた。できました」

「え、なにそれ」

「否定するのが癖になってて、つい」

「つい、じゃないし。えー……そうなん?」

 おめでとう、と友人たちは言ってくれた。ありがとうと私も言い、追及がはじまるものと身構えたのだけれど、そうはならなかった。

「結衣の理解者がとうとう現れてしまったか」

「嬉しいのにさみしい。これからも友達でいてね」


 どうせすぐ別れる、とか、そんな年上なんてあんた騙されてるとか、言われるかと思ったのに言われなかった。
 しみじみと認知されてしまった。
 友人に彼氏ができるたび、私はどんな言葉を放っていただろう。別れたら教えてとか、場のノリにかまけて口の悪いことを言っていた気がする。少なくともこんな穏やかな扱いはしなかった。今後は気をつけよう、などと反省した。
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