さよなら、片想い
「今のでよかった?」
宏臣たちが行ったあと、岸さんが聞いてきた。
「助かりました」
「そう。それじゃ」
岸さんは建物のなかに戻っていった。
飲み物は買わなくてよかったんだろうか。
そもそもろくにしゃべったこともないのにジャケットの裾をつまんで合図をするとか、私も距離の測りかたを間違えていた。それは岸さんでなくてもびっくりする。
バスに乗り、家へと向かうころには私も冷静になっていて、そんなことを考えていた。