ねぇ・・君!
夫婦での語らい
英明は、清香との結婚式を終えて
初めての夜をむかえていた。
この日、二人は南千里阪急ホテルに
泊まっていた。
「清香、今日1日あっという間だったな」
「なんか、夢みたいな1日でしたね」
「清香、これからはおまえと
子供のために頑張っていくよ」
「あなた、無理はしないでくださいね」
「清香、おまえはオレに
寿子とのこと聞かなかったな」
「あなたがつらい思いをしたことを
聞かないほうがいいと思ったんです。
それに、あなたは私を命懸けで
助けたんです。そんなあなたに
できることは、あなたの心を
軽くすることだと思ったんです」
「清香、おまえは愛しい妻だ。
おまえとならオレが思っていた
家庭を築けていける。
オレについてきてくれるか?」
「はいっ」
「生涯をかけてともに生きてくれるか?」
「はいっ」
「清香、愛しているよ」
英明は、清香を抱きしめてキスをした。
英明にとって、清香は
愛しい存在となっていた。
清香と初めて茶屋町オフィスで
出会ってから清香の優しい心遣いを見て
生涯をともに生きていきたいと
願っていた。
それだけに清香と一緒になった
だけでなく、家族が増える喜びは
英明は、大きな喜びとなっていた。
「清香、来年の春に子供が生まれて
くるんだな。元気に生まれてきて
ほしいと思っているよ。
オレにとって初めての子供だから
大切に守っていきたい」
「あなた、この子は幸せな子です。
元気に生まれてほしいと願っています」
英明は、清香のなかで育っている命が
このまま育って無事に生まれて
くることを願っていた。
それから、英明は清香と
新婚生活を送っていた。
英明は、清香のつくってくれる
毎日の弁当が楽しみでしかたなかった。
「課長、毎日愛妻弁当で幸せですね」
英明の幸せそうな顔に恭輔は、
清香と再婚したことで英明の表情が
明るくなったのを感じていた。
それは、清香が英明を変えていったのは
いうまでもなかった。
この事で、英明のいる茶屋町オフィスの
社内の空気が変わっていた。
それは英明が、清香との再婚を
決意したことで茶屋町オフィスが
明るくなったのはいうまでもなかった。
「雪恵、営業部の恭輔、
香菜、孝之、沙織の今月の
営業成績のデータを出してくれ」
「わかりました」
茶屋町オフィスでは、古株となった
雪恵が総務を取り仕切るまでになった。
それは、清香が雪恵の営業事務を
引き継ぎ、雪恵に総務を
専念するまでになったのだ。
ある意味で、清香が茶屋町オフィスに
いたことが恭輔をはじめとする
既存の仲間に大きな影響を与えたのは
いうまでもなかった。
「清香、これから帰る」
英明は、毎日愛妻清香に帰るコールを
携帯からかけていた。
この幸せが、いつまでも続くことを
願ってやまないと英明は感じていた。
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