ねぇ・・君!
我が家の手作りパフェ
本来なら梅雨に入っているが、
今年も空梅雨になり暑い日が続いた。
そんななかで、清香は憲司に
ミルクを飲ませて一息ついていた。
「暑いなぁ、毎日クーラーつけないと
憲司が脱水状態になるもんね。
私も暑いし、何か冷たいもの食べよう」
清香は、憲司が寝静まった後に
冷蔵庫からアイスクリームを出した。
そして、生クリームの素と果物があった。
「よしっ、これでパフェつくっちゃえ」
清香は、パフェの容器を出すと
さっそくパフェづくりに取りかかった。
「我が家のダンナ様は
甘いものはダメなのに、
パフェだけは喜んで食べるのよね」
そう、英明は甘いものは苦手だが
清香につくったパフェだけは、
喜んで食べていた。
「ホントはね、パフェに
梅シロップを使わないのよね」
そう、清香がつくっているのは
梅シロップのフルーツパフェだった。
それは、甘いものが苦手な英明のために
夏を楽しめるように試行錯誤したのが、
梅シロップのフルーツパフェだった。
清香は、フルーツパフェをつくった時に
英明が仕事を終えて帰ってきた。
「ただいま」
「おかえりなさい」
「腹へったよ、メシにしてくれ」
「お夕飯の支度はできていますよ。
先に着替えてきてくださいな」
英明は、クローゼットから
部屋着を出して着替えていた。
部屋着に着替えた英明は、
キッチンにいる清香に言った。
「清香、玄関の花を生けたのか?」
「気がついてくれた?
近所のスーパーで切り花を
売っていたから買ったの」
「桔梗の花か。涼しげでいいな。
憲司は寝ているのか?」
「憲司は、ぐっすり眠っているわよ」
「外は暑かったよ。ビールあるか?」
「あなた、ビールもいいけど
これはどう?」
清香は、さっき手づくりしていた
フルーツパフェを英明に出していた。
「清香のパフェだけは食えるよ」
「あなた、カロリー
オーバーにならないの?」
「いいんだよ、甘いものは別腹だよ」
「ほんとに、都合がいいんだから」
英明は、清香のつくった
フルーツパフェを食べていた。
梅シロップは、みなべ町にいる
英明の姉が英明夫婦のために
梅ジャムと一緒に送ってくれたのだ。
「やっぱり、清香のパフェが一番だよ」
「これで涼めるなら何度でもつくるわよ」
英明がフルーツパフェを食べるのを見て
清香は、英明についてきて
よかったと思っていた。
憲司が生まれて幸せを感じている
清香は、このまま家族が仲良く
暮らしていけることを願っていた。
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