ねぇ・・君!
笑える朗読劇
「あれっ?清香、何のCDだ?」
「うん、水澤憲司さんの笑う朗読劇だよ。
これ、聴いているとウケるよ」
「へぇーっ、確かに笑えるな」
「そうでしょ?」
清香と英明は、CDから流れる
朗読劇を聴いていた。
すると、しばらくしてから
二人で大爆笑していた。
ところが、その大爆笑で
寝ていた憲司が泣き出したのだ。
英明は慌てて憲司の様子を見ていた。
「憲司、ビックリしたよな?
どうしたんだ?腹がへったのか?」
「あなた、憲司は首がすわってないから
抱く時は気をつけてよ」
「大丈夫だよ。姉ちゃんの家にいる
甥っ子を抱いているから心配するな。
それよりもミルクの時間じゃないのか?」
そう、みなべ町にいる英明の姉の子供は
双子の男の子である。
英明の姉が実家で里帰り出産をした時に
甥っ子二人を抱いたことがあったのだ。
そんなことがあったことから、
英明は甥っ子たちを大切にしていた。
英明にとって初めての子供である
憲司の存在が癒やしになっていた。
家にいると明かりがついていて
妻の清香と息子の憲司が待っている。
その幸せを英明はかみしめていた。
「あなた、すみません。
憲司を抱いてもらって」
「いいんだよ、オレは
憲司とおまえがいるから
安心して外に働いていけるんだ。
オレの理想としている家庭を
おまえが築いてくれて感謝している」
「あなた、憲司にミルクを飲ませるわ」
清香は、英明から憲司を受けとると
憲司にミルクを飲ませていた。
憲司は、母乳とミルクの
混合で育てていた。
この時は、清香と英明にとって
幸せな時間であった。
英明は、再婚をした清香に
憲司が生まれたことを幸せに思っていた。
ようやく自分が理想としている家庭を
清香は築いていこうとしている。
英明は、清香と憲司のために頑張って
家族を守っていこうと思っていた。
「どうやら眠ったみたいだな」
「そうね」
「清香、オレは幸せだよ。
こうして我が子を持つことが
できたんだからな」
「あなた、私も幸せです。
憲司を産んだことは私の財産です」
「清香、この先憲司のあとに
兄弟が増えるだろう。
それでも、オレはおまえと生きていく」
この言葉は、英明の誓いの言葉となった。
この先、家族が増えたとしても
妻の清香と生きていく。
そして、我が子憲司とあとに続く
憲司の未来の兄弟のためにも
英明は家族を守っていこうと
そう思っていた。
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