ねぇ・・君!
夫を守る守護石【前編】
この日、清香は英明の母に
憲司を託して買い物に出かけた。
阪急梅田駅に着くと
雪恵と待ち合わせをしていた。
「清香ちゃん、久しぶり」
「雪恵さん、お久しぶりです。
すみません、ご無理を言って」
雪恵は、ブランドを
さりげなく身につける。
雪恵のファッションセンスは
清香の憧れだった。
「清香ちゃん、課長のプレゼントは
なにか決めているの?」
「去年は、時計を贈ったんです。
今年は、ネクタイピンとカフリンクスを
用意しているんですが、それに合う
ドレスシャツとネクタイを見たいんです」
「ドレスシャツとネクタイね。
私の主人が愛用しているブランドが
阪急百貨店にあるけど行ってみる?」
「はい、よろしくお願いします」
そんななかで、清香は雪恵と一緒に
阪急百貨店に入っていった。
雪恵の夫は、フェンディを愛用している。
雪恵は、フェンディの売り場に
清香を連れて行った。
「いらっしゃいませ」
「こんにちは、今日は彼女の
旦那のプレゼントを見に来たの」
雪恵は、このお店の常連であることから
販売員と顔なじみであった。
「どのようなものをお探しでしょうか」
「ドレスシャツとネクタイです」
「それでしたら、こちらは
いかがでしょう」
販売員さんは清香に
ドレスシャツを見せていた。
「清香ちゃん、ネクタイピンと
カフリンクスは
どんなものを選んだの?」
雪恵は、清香にさりげなく聞いていた。
清香は雪恵にこう答えた。
「アクセサリーのお店で見つけた
サファイアのネクタイピンと
カフリンクスのセットです」
「清香ちゃん、ステキじゃない。
サファイアに合うドレスシャツと
ネクタイを選んであげる」
「雪恵さん、ありがとうございます」
そんななかで、雪恵は清香が選んだ
ネクタイピンとカフリンクスに合う
ドレスシャツとネクタイを選んでいた。
「清香ちゃん、これはどう?」
雪恵は清香にアイボリーのドレスシャツと
紫陽花色のネクタイを選んでいた。
「雪恵さん、ありがとうございます」
「喜んでもらえてうれしいわ」
清香は、雪恵が選んだドレスシャツと
ネクタイを購入していた。
そして、販売員さんに
プレゼントのラッピングをしてもらった。
お店を出てから百貨店のレストラン街で
二人はランチをしていた。
「雪恵さんにお願いしてよかった」
「清香ちゃんに愛されて課長は幸せね」
「仕事は、変わったでしょうね」
「なに、言ってんのよ。
うちのオフィスは、変わってないわよ」
「主人は、仕事のことを
言わない人だから」
「課長は、家族を大事にしているのね。
仕事のことを家には持ち込まないのは
なかなかできないことよ」
「そうなんですか」
「そうよ、清香ちゃんに
家を任せているからこそ、
課長は安心して仕事ができるのよ。
清香ちゃんと一緒になってからの
課長は穏やかになっていたわ。
それを見て思ったの。
清香ちゃんが家庭に入ったことで
課長は自分の心に余裕ができたんだって」
清香は、仕事をしている時の英明を
雪恵から聞いていた。
この時に家では見せない英明の姿を
垣間見ることができた。
清香ができることは、英明のために
尽くしていくことであった。
英明の梅の木となった清香は、
これから先も英明が休息ができる
家庭を築いていきたいと願っていた。
【後編に続く】
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