ねぇ・・君!
オフィスの仲間の結束
清香は、英明が言うように
引っ越しをすることにした。
しかし、毎日清香をつけてくる
史生からの魔の手に
逃れることはなかった。
毎日の固定電話への無言電話。
そして、ロミオメールの嵐に
清香は疲れてしまっていた。
オフィスの仲間たちから、
そんな清香を心配する声が
多くなった。
とくに、営業部の沙織は
本社営業部の寿子の仕業だと
思っていたようだ。
寿子が、自分にライバルとして
意識を燃やすのはまだいい。
しかし、それだからと言って
清香をつぶそうとするとは、
絶対に許せないと思ったのだ。
「清香さん、絶対に負けないで。
天野係長の嫌がらせに負けないで」
「沙織、おまえ何か勘違いを
していないか?」
「課長、清香さんの嫌がらせは
天野係長の仕業でしょう?」
英明と沙織の会話を聞いて
恭輔が言った。
「課長、最近の清香さんは
疲れているようです。
こういう嫌がらせは、
天野係長のほかに
考えられないですよ」
恭輔の発言を聞いて雪恵も言った。
「確かに、天野係長の仕業だと
思います。私が確信します」
沙織だけでなく、恭輔と雪恵が
寿子の仕業だと思い込んでいた。
「おまえら、冷静になれ。
広瀬くんが疲れているのは、
天野係長の嫌がらせではないんだ」
「どういうことですか?」
開口一番に言ったのは、雪恵だった。
「広瀬くんは、かつての婚約者だった男に
ストーカーをされているんだ。
天野係長とは、無関係だ」
「元カレに、つきまとわれていたの?
どうして、もっと早くに
言ってくれなかったの?あたしたち、
同じオフィスの仲間じゃないの」
「そうよ、水臭い気遣いはなしよ。
清香さんは、うちのオフィスの
屋台骨なんだから、遠慮することは
ないんだからね」
「課長、どうするんですか?
清香さんを避難させるのなら
オレが力を貸しますよ」
「恭輔、それならば広瀬くんの
引っ越しを手伝ってくれるか?」
「それなら、お安いご用ですよ。
オレの同僚に集合かけますよ。
ところで、引っ越しの場所は
決まっているんですか?」
そして、英明は恭輔に
清香の引っ越し場所を
英明のマンションに
移すことを話したのだ。
そのことを聞いた恭輔が言った。
「課長のマンションなら、
通勤に心配ないでしょう。
それに、課長がボディーガードに
なるから、大丈夫ですよ」
「ありがとうございます。
心配かけてすみません」
「何、言ってんのよ。
みんな、清香ちゃんの味方
なんだから、遠慮しないで
なんでも話して」
そう言ったのは、雪恵だった。
これからの引っ越しが、
どうなるかわからないが
英明やオフィスの仲間が
清香を助けようとしている。
清香は、このオフィスに働いて
よかったとそう思っていた。
< 7 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop