幼なじみの吸血鬼くんが本気を出したら。
目が覚めると別館の保健室にいた。

体育祭中、別館に来る人はいない。

しかも、保健室みたいに本館から見えないところは余計来ない。

もう、だめだな。

やっちゃったよ。

あれほど気をつけていたのに。

馬鹿だな。

こんな時に気を抜いちゃうとか。

「ほんと馬鹿だ」

鍵がかかっていて、扉が開く気配はない。

体育祭、最後まで出たかったな。

窓の鍵は空いていたので、外の空気を吸うために開けた。

四階だからここから出られるはずもなく。

なぜか涙が出てきた。

悔しい。

こんなところで足止め食らうなんて、悔しい。

私がもっと賢かったら良かったのにな。

そんな心とはうらはらに再開の鐘が鳴った。
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