かすみ草の花束を。
不機嫌な原因

小枝side



次の日学校では、いろんな人の黒崎先輩を見る目が変わっていた。

「黒崎って、あの流川くんより頭いいんだって」

「黒崎先輩、成績トップだったらしいよ」

昨日の流川先輩の発言と、先生たちの証言によって、瞬く間に先輩の頭の良さは伝わっていた。

先生たちの証言は実際に聞きに行った人たちがいたらしい……

「流川く~ん!」

「黒崎クーン…っ!」

んっ!?

教室のベランダから見えたのは、校庭にいる黒崎先輩と流川先輩の名前を呼んで駆け寄って行く女子たちの姿。

次の授業は先輩のクラスは体育。

三葉高校ではプールの授業がなく、今の時期は女子はテニス、男子はベースボールをやっている。

私は授業が始まるまでのこの時間、いつもベランダに出て黒崎先輩を盗み見ているのだ。

いつもは黒崎先輩がいるから流川先輩に近づけないという流川先輩ファンの方々が、今日は黒崎先輩のことを気にしていない。

それに、黒崎先輩の近くにも人が…!

しかも女子が…!

しかも大人っぽくてきれいな…っ!


…そうだよ……

今まで私1人で黒崎先輩をひとりじめしてたみたいなもので、黒崎先輩と私じゃ天と地ほどの差がある。


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