かすみ草の花束を。
「ま、まだあるんです…中、見て下さい」
「…?」
黒崎先輩は袋の中から、さっき私がもらった白の封筒と同じものを出し、その封筒からお守りを取り出す。
暗くて表情が読み取りづらいけど、先輩の顔は驚いてるような感じだった。
「…それ、七夕フェアで当たったお守りです。 先輩にあげたくて…一緒に入れてもらいました」
「まじかよ…」
「まじなんです。 私もさっき、先輩からもらったお守り見たときビックリしました…っ
そのお守り、本当に願いが叶うという噂があるんですよ。
だから、その…先輩が叶えられなかったこと、違う形でも叶ったらいいなって思うし…今先輩に、何か叶えたいことがあるのなら…叶ってほしいです」
黒崎先輩は、きっと人一倍我慢して、心を押し殺してきた人だと思う。
その分、人の心の痛みがわかり
その分、人に優しさをあげられる人
だからこそ、先輩の願いが叶ってほしい。
これも私の願い。
黒崎先輩に対しての願い事。
「…願いとか、俺の中から全部無くなったと思ってたのに」ーー