かすみ草の花束を。


「……花咲…、おめでとう」

「…へ…?」

「誕生日、おめでとう…言ってなかったと思って」

「……あ、ありがとうございます…っ
う、嬉しいです……
ほんと…先輩最近どうしたんですか…? おもてなしキャンペーンか何かですか…?

こんな風に、先輩にお祝いしてもらえるなんて思ってもみなくて…その先輩へのプレゼントだって明日渡すつもりだったのに、先輩が突然目の前に現れるから……」

俺がプレゼントしてんのに、俺ももらってどうするって感じなんだけどな……
てゆうか、おもてなしキャンペーンってなんだよ。

「…本当は明日でもいいと思った。 渡すのなんていつでもできる。
…けど、それじゃなんか嫌だったから、なんとなく」

後で渡してもいいはずなのに、やっぱこいつの誕生日は今日しかないと思ったら、バイトが終わったと同時に体が動いてたんだ。

「……来てもらえて、嬉しいです。
とても…ものすごくっ…この上ないくらい幸せで、感謝でいっぱいなんです…先輩の優しさを、身をもって感じます」

優しさとかじゃない。

こいつはいつも俺のことを優しいと言うが、俺は優しくない。
俺を優しい人にしてるのはこいつであって、本当に優しいやつっていうのは、花咲みたいなやつだ……


< 219 / 396 >

この作品をシェア

pagetop