かすみ草の花束を。
「たぶん花咲さんに"近づくな"って言ったのにも、動物園で会ったっていう女の子が好きだからじゃなくて、何か他に理由があると思う…」
他の、理由…?
…で、でも、あの人のこと好きだからですか?って聞いたとき、黒崎先輩は何も答えなかった。
否定しないのは、好きだからじゃないの…?
もしも…あの女の人のことが好きじゃないのなら、どうして近づくなって言ったの…?
私が知らない間に何かしてしまった、とか?
…ダメだ、考えてもわからない…頭パンクする。
私、頭の容量ちっさいんだった……
「流川先輩、黒崎先輩の家、教えて下さい。
もし、他に理由があるのなら…先輩の口から、ちゃんと聞きたいです」
美羽が言ってた通り、聞かないとわからない。
聞かないとわからないことだらけだ。
近づくなって言われただけじゃ納得なんてできる私じゃなかった。
流川先輩は私の言葉に笑顔で頷いて「ありがとう…」と言った。
その後雑談を少しして、黒崎先輩の住所を教えてもらったあと、私と美羽は帰ることに。
明日、黒崎先輩の家に行こう。
ちゃんと返事を聞きに、私は先輩に会いに行く。ーー