かすみ草の花束を。
先輩の返事と突然の訪問
小枝side
"ピンポーン!"
次の日、流川先輩に教えてもらった黒崎先輩の家に辿り着いた私は、ドキドキしながらインターホンを押す。
ガチャっとドアが開いて出てきたのは、黒崎先輩と雰囲気がよく似た30~40歳くらいの男性だった。
「あっ、こんにちは! はじめまして!
私、花咲小枝と言います…!
えっと…、じゅ、純先輩いらっしゃいますでしょうか…!?」
先輩の名前、初めて口に出して言った…
言い慣れなくてつい噛んでしまう。
この男性はきっと黒崎先輩のお父さんだよね…?
「純なら、今バイトに行ってますよ」
その笑顔が穏やかで優しくて、やっぱりどことなく黒崎先輩に似ていた。
「あ、あのっ、先輩のお父様ですか…?」
「はい、そうです。…花咲さんは、純の恋人かな?」
「…! め、めっそうもございませんっ…!」
「そうですか…残念だな…こんなに可愛い子が純の恋人だったらと思ったんだけど」
そう言って再び優しく笑うパパさん。
そんなこと、黒崎先輩に似た顔で言わないでほしい…