かすみ草の花束を。
先輩の返事と突然の訪問

小枝side



"ピンポーン!"

次の日、流川先輩に教えてもらった黒崎先輩の家に辿り着いた私は、ドキドキしながらインターホンを押す。
ガチャっとドアが開いて出てきたのは、黒崎先輩と雰囲気がよく似た30~40歳くらいの男性だった。

「あっ、こんにちは! はじめまして!
私、花咲小枝と言います…!

えっと…、じゅ、純先輩いらっしゃいますでしょうか…!?」

先輩の名前、初めて口に出して言った…

言い慣れなくてつい噛んでしまう。

この男性はきっと黒崎先輩のお父さんだよね…?

「純なら、今バイトに行ってますよ」

その笑顔が穏やかで優しくて、やっぱりどことなく黒崎先輩に似ていた。

「あ、あのっ、先輩のお父様ですか…?」

「はい、そうです。…花咲さんは、純の恋人かな?」

「…! め、めっそうもございませんっ…!」

「そうですか…残念だな…こんなに可愛い子が純の恋人だったらと思ったんだけど」

そう言って再び優しく笑うパパさん。

そんなこと、黒崎先輩に似た顔で言わないでほしい…


< 252 / 396 >

この作品をシェア

pagetop