かすみ草の花束を。


「ごちそうさま」

全部食べ終えた俺は、皿を片付け自分の部屋に向かう。

ガチャ…

「……」

…ガタガタッ

「……っ…!?」

部屋のドアを閉め、ベットの上を見てビックリしたと同時に、ドアに背中をつけ距離をとる。

…なんで…いんの……
しかも、寝てるし…ぐっすりと…

なんだこいつ…ほんと何考えてんの…?

男の部屋に勝手に入って、その上ベットで寝るなんて…そんなの、襲われにきてるようなもんだぞ?
俺だから大丈夫だったけど、他のやつだったらどうなってたか……

てゆうか暑いのにエアコンもつけずに…熱中症なったらどうすんだよ……

俺は少しずつ自分のベットに近づき、エアコンのリモコンのスイッチを押した。

「先輩っ…!」

「…!?」

「奇跡、なんです…」

こいつは目を閉じたままそう言った。

ビビった…なんだよ、寝言かよ……

「何が奇跡なんだよ」

俺は悪いと知りながら寝言に返事し、こいつの顔の高さと同じ目線になるように床に座り込む。

「…先輩に、出会えた…」

そう言ったこいつの閉じている目から、涙が一粒流れ落ちた。

俺に出会えたことが奇跡…?


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