かすみ草の花束を。


「俺の近くにいたら、あんたは…幸せになれない」

…だから離れる。
俺はそういうやり方しか知らないんだ……

けど、ずっと…ずっと、会いたかった。

何も考えないようにしても浮かんでくるのは全部こいつで。

今目の前にいるこいつは幻なんじゃないかと、まだ信じられない。

どうして来た…?
もう俺に会いたくないはずだ。

突き放して何も答えなかった俺に、幻滅したんじゃないのか…?

あんな傷ついた顔してたのに、俺のこと…まだ、思ってくれてるのか…?

「…傷つけて…ごめん…」

俺は花咲を見つめ、小さく呟いた。

「……せん、ぱい…?」

こいつは目をゆっくり開け、俺を薄ぼんやり見ている。

「…泣いてるの…?」

「…っ…」

俺、泣いてるのか…?
また、こいつの前で……

「先輩、ごめんなさい…勝手に家に来て、部屋に入って、おまけにベットをお借りしてしまって……」

こいつはベットから起きると、俺と同じ床の上に座り込んだ。

「泣くほど、私が嫌…ですか…?」

「…っ!」

何でそう、なるんだ…

「ごめんなさい……だけどやっぱり、どうしても…先輩の口から聞かないと、納得できないんです…!
本当にこれで先輩を追いかけるのは最後にします!
だから先輩の返事を、聞かせてくれませんか…? お願いしますっ!」ーー


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