かすみ草の花束を。

小枝side



先輩のベットで眠りにつくなんて…なんて贅沢なことしてるの…!

だけど、私が目を開けたとき、先輩は私を見て泣いていた。

夢と現実の狭間でぼんやり聞こえたその声は…

" 傷つけてごめん "

そう言ったんだ。
とても儚くて、苦しそうで、今にも消えてしまいそうで……

あれは、黒崎先輩の声…?
私に言ったの?

私は先輩に傷つけられたと思ったことなんてない。
一度もない。

「私は…! 黒崎先輩のことが、出会ったときからずっと、ずーっと…大好きです…!
もし先輩が、私を突き放す理由が他にあるのなら

「嫌いだから。 出会ったときから…俺はあんたが嫌い」

「…っ…」

私の言葉を遮って、黒崎先輩はそう言った。
先輩の口から出た私への"嫌い"という単語に、心がズーンと沈んでいく。

知ってた。
前から嫌われてることは知ってたじゃないか…
それでもいいって我儘言っていたのは私自身。

「…今、は? 変わってませんか…? 少しも、好きじゃないですか…?」

少しの勇気と、少しの希望。

どうかもう少しだけ、私に力を…ーー


< 265 / 396 >

この作品をシェア

pagetop