かすみ草の花束を。
「ほら、こんなことも平気で言っちゃうし、私はひどいやつなんですよ…!
それでひどいついでに、お名前聞いてもいいですか…?」
「…やっぱり、黒崎先輩以外には眼中にないんですね……」
「すいません…1年生の人気者だってことはわかるんだけど……」
なんせ本当に黒崎先輩に関すること以外目に入らないというか、気にならなかったのだ。
「神城天馬です。 神城でも天馬でも好きなように呼んで下さい」
「神城天馬くん…すごい、名前……」
「よく言われます」
「神城くん、同い年だし敬語じゃなくてもいいですか…?」
「……」
「あれ、ダメ?」
「あ、いや、あんま慣れてないっていうか…女子と話すことなくて…」
すごくカタコトなのに、表情が一切変わってないから不思議。
相変わらずずっと目は死んでるし……
「じゃあ、タメで話す練習しよう!
神城くん、私みたいなのより、これから先の未来ですっごく可愛くて素敵な人に出会うよ〜…っ!
私実はそういうのが感覚的にわかる瞬間があって、今名前聞いてフワッと感じて…って…私、完全に無責任なこと言った? 言ったよね…?」
「…フッ…言った……」
「おぉ…! 神城くんいい! その調子だよ!」
またひどいことを言ってるのにも関わらず、無表情の彼が少し笑ってくれて嬉しい気持ちもあり、本当にこれから神城くんは素敵な女性と出会うことが私には漠然と名前を聞いてわかったのだ。