かすみ草の花束を。


七夕生まれだからか、まあそれはきっと関係ないのだろうけど、稀に妙な自信で見えないものがふっとわかるときがある。

自分のことではなく、自分以外の人のことで。

中学の頃、たまたまドラマで共演していた男女をテレビで見たとき、この2人結婚するなと勝手に思っていたら、その1ヶ月後に本当に結婚してしまったり。

母の話によれば、小さい頃私が「赤ちゃん、赤ちゃん」と母のお腹を指差して言うから、慌てて病院に行ってみると、本当にお腹の中に雄大がいたりだとか。

母親のお腹に赤ちゃんがいるのが子どもにはわかるという話は結構よくあるみたいだけど、そういう感覚で頻繁にあるわけでもなく、本当に稀にふっとわかってしまうことがある。

「私の感覚、百発百中で当たるよ」

ドヤ顔でそんなことを言うが、百発百中といってもまず百発もない。
けどきっと、姿の見えないその人は、神城くんの運命の人だ。
名前でわかったということは、トリガーは名前なのかな?

私もそれとは違う感覚で、黒崎先輩のことが好きだと、この人だって思ったんだけどな……

「…当分他の人なんて考えられないけど」

「ん?」

神城くんから何か聞こえた気がしたけど、私の耳には届かなかった。

「何でもないです。 あ…何でもない」

「あ、言い直した」

そんなことを言っては笑って、久しぶりにこんなに笑ったかもしれないと思った。

黒崎先輩は私がいなくなって、たくさん笑えているかな…ーー


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