かすみ草の花束を。
純side
新学期が始まって2週間以上が過ぎた。
あいつの姿はほぼ見てない。
たぶん、俺と会わないようにしてるんだろう。
そのせいか、学校では俺が花咲をフったんだと推測され広がっていった。
「純、今日もバイト?」
帰りのホームルームが終わり、正人に話しかけられる。
「あぁ」
「…なあ純。 ほんとにこのままでいいと思ってる?」
「何が」
「花咲さんだよ」
俺は鞄を持って教室を出ると、正人は逃がすかと俺を追いかけてきた。
「しつこい。 俺の勝手だろ」
「…けど、純は大事なことは何も教えてくれないから。 何か隠してることはわかってるんだよ」
「……」
正人の声を耳に入れながら、俺は廊下から窓の外を見て足を止める。
それに気づいて正人も足を止め、俺の目線の先を追った。
そこは裏庭のあまり人が通らない物陰。
そんな人気のない場所にいたのは、花咲と、…花咲の頭に手を置いている1人の男子。
「…っ…」
俺にそんな資格がないことはわかってる。
けど久しぶりに見たあいつが、違う男と一緒にいるところなんて見たくなかった……
最悪なことに、何そんな簡単に触らせてんだというドス黒い嫉妬まで湧き上がってくる。