かすみ草の花束を。
「けど先輩は、自分のこと弱いって認めてるじゃないですか。
自分の弱さを認めることは、誰でもできることじゃないと思います。
それも…見えない強さじゃないですかね」
「……」
年下のくせに、神城は大人みたいなことを言う。
きっとこいつといれば、花咲は幸せになれるだろう。
……けど、嫌だ。
想像するだけでムカついて体が熱くなる。
花咲には笑っててほしいけど…、傷つけても、苦しめても、やっぱり俺が花咲のそばにいたい。
あいつの言葉を聞いて、俺はもう完全に自我が強くなっている。
「安心して下さい…もう俺、フラれてますから。 俺の好きになった人は、ずっと先輩のことしか考えてないですよ」
「…っ…」
「たぶん、俺はそういうところを好きになったんですけど……
だから、黒崎先輩は唯一のヒーローになれます。
好きな人は自分にとって、守ってもらえなくても、勝手にヒーローになってるもんらしいので」
神城は「それじゃ」と言って保健室を出て行った。
久しぶりにこんなにも湧き出た無数の感情によって疲れ果て、溜息として流れ出た。
俺は、本当にあいつのそばに…いていいんだよな…?
もう、諦めなくていいのか…?
矛盾だらけだった俺は、気持ちの強いものほど表に出てこようとする。
そして厄介で臆病だった俺の感情ほど自然と薄くなっていた。
素直になれば簡単に答えが出てくるのに、めんどくさく、ややこしく考えすぎてたんだ。
どんなことがあったとしても、俺はただ、花咲小枝を助けに行くから。
だから、この大事な想いを、伝えてもいいだろうか……ーー