かすみ草の花束を。
溢れ出る想い
小枝side
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次の日の土曜日は、朝から雨だった。
そんな天気にちょっとソワソワしながら、私は待ち合わせ場所に向かう。
ずっと大切に持っていたかすみ草のイヤリングをつけて。
相手は黒崎先輩。
……ではなく、黒崎先輩のお父さん。
昨日無事に病院で異常なしの結果をもらい安心した私は、家に帰ると先輩のパパさんに電話をかけた。
先輩の家に行ったときに、パパさんからもらった名刺の電話番号を見ながら。
先輩の話を聞いて、やっぱりどうしても会いたいと思った。
記憶がなくなってたとしても、先輩のこと忘れてるんだとしても、どうしても会って、伝えたいと思った。
きっと今でも先輩にとってすごく大事な人である、冬夜さんに。
先輩には聞けないから、ダメ元でパパさんに電話をかけてみると、冬夜さんのことも知っていた。
なので住所を教えてもらおうとしたのだが、ひとりでは行かせられないと言われ、わざわざパパさんがついて来てくれることになったのだ。
ある意味、今日は黒崎先輩のパパさんとおデートである。
そんなことを言ったら先輩のお母様に叱られてしまうだろうけれど……
お父さんやお母さんには友達に会いに行くと伝え、美羽には本当のことを言ってお許しを得たが、「何かあったら必ず連絡すること!」と念を押された。
「私も一緒について行く」とも言われたけど、さすがにそれは断った。
美羽が過剰に過保護になるのにも理由がある。
それは昨日、黒崎先輩から聞いたことだけが理由じゃない。
パパさんに指定された待ち合わせ場所は、人通りの多い場所にある人気のオシャレなカフェだった。