かすみ草の花束を。


鞄もスマホも夏目さんが持ってるし……

う"ぅぅぅ…っ
こんな回りくどいことしていられるほど、私は我慢強くはない。

這いずり上った階段を昨日のように落ちないよう、ゆっくり一段ずつ座りながら降りる。

そして、ピョンピョン飛び跳ねながら、部屋の壁にある窓をスーッと開けた。

外は未だに雨が降っていて、その雨がすこし部屋の中に入ってくる。
ここから出られないかと下を見るが、さすがに高くて無理だった。

ならば大声を出して外にいる人に気づいてもらう作戦。
見た感じ人はいないけど、やらないよりはマシだ。

そう思って大きく息を吸った瞬間……


「……っ…」


突然ピカッと光る空。

体の全神経がそれに反応し、固くなっていく。

数秒後、大きな音がして、私は全身の震えが止まらず、その場に座り込んでしまった。ーー


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