かすみ草の花束を。


『美羽…!
小枝ちゃんがっ…!

病院に運ばれたって!』

時間を戻せるのならやり直したい。
小枝を傷つけたものを全部取り除きたい。

「小枝……ごめん…っ」

私の目からは涙が溢れ出る。
泣きたいのは私じゃないのに……

いつも小枝は我慢してた。
自分のことでは絶対涙を見せない。
誰かに助けてほしいとも言わない。

本当は誰よりも泣きたいはずなのに、私たちに心配かけないように…見えないところで、たくさん傷ついてきたと思う……

だからどうか、2人の想いがひとつになりますように…
小枝を、幸せにして下さい……

傷ついて、間違えて、それでもまっすぐに向かっていく2人だから、絶対大丈夫だって信じてる。

そんなことを思いながら涙を流す私を見て、流川先輩は頭を撫でてくれる。
そしてこれでもかと優しく、抱きしめてくれた。

「美羽ちゃんのせいじゃない。
それは、誰のせいでもないからね」

そう言って今度は泣いている子どもをあやすかのように、背中を撫でてくれる先輩。

「…ふっ…う~…」

「美羽ちゃん、大好きだよ」

「っ…!?」

その一言に、ビックリして涙が自然に引っ込んだ。

「大切な人のために怒る美羽ちゃんも、大切な人を思って涙を流せる美羽ちゃんも、もう全部……大好きだよ」

「……」

「あれ、固まった?」

「…不意打ち、ずるいです~…!」

…小枝…聞いてほしいことがあるの…。

だからお願い…早く帰ってきて……ーー


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