かすみ草の花束を。

小枝side



外では雷がゴロゴロと鳴り止まない。
体の震えが止まらない私は、床に座り込んだまま、うずくまっていた。

こわい…

外がピカッと光るたびに、ビクっとする体。

ひとりだとどうしても、あの日の自分がフラッシュバックしてしまう。

ーー痛い…

やだ、行かないで…
置いていかないで…

…こわい……

私は…死ぬの…?ーー

そんな感情で埋め尽くされる。

私は手首を縛られた手で、耳につけているかすみ草のイヤリングを取ろうとした。

「……っ…」

うそ、ない……
片方のイヤリングがない…っ

どうして今まで気づかなかったの…!?

震える体で何とか周りを探してみても、もうひとつのイヤリングは見あたらない。

嫌だ……先輩が私に初めて選んでくれたプレゼントなのに…っ!


" 七夕はカスミソウの日って紙に書いてた。

白い花を天の川に例えてるらしい "

" それと、そっくりだと思ったんだ……花咲く、小さい枝。

あんたの名前に "


先輩…先輩っ…

ごめんなさい…片方、失くしちゃった……ーー

そう思った瞬間…ドカーンッと大きな音が響き渡り、壁がカタカタと少し揺れた。

…はぁっ、はぁっ、はぁっ

苦しい…息ができない……

突然呼吸がうまくできなくなって、私の背中が大きく上下に揺れる。


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