かすみ草の花束を。
かすみ草の花束

純side



次の日の日曜、俺は自分の部屋でボーッとひとり考えていた。

俺は昨日、ちゃんと告白できたんだよな……?

花咲はまだ信じられないみたいだったけど。
めちゃくちゃ抱きしめて、キスまでしたのに…その時点でもう十分わかんだろ…
女に触るのが嫌いな俺が、自ら進んでやると思うか…?

あんなことまでするはずじゃなかった……
ただ、目の前にいるちっこい花咲が可愛くて、我慢できずに口を塞ぎたくなった。

思い出しただけで顔が熱くなっていく。

ほんの一瞬しか触れてないのに、小さくて柔らかくて、そのまま食べられそうで……

「…っ…」

完全に俺のほうが変態になってるわ…。

口と口を合わせるなんて絶対気持ち悪いと思ってたのに、公共の場で俺はなんつーことを……

脳みそがそういう方向にいかないように、ガシガシと頭をかく。

昨日俺が父さんから帰って言われたのは、「もう大丈夫だから、純の好きなように生きなさい」ということだった。
そして「自分じゃどうにもならないときは周りの人を頼りなさい」と。

篠塚や冬夜のことを知ってたのも驚いたが、父さんが自ら動いてくれてたなんて全然気づかなくて、自分の父なのにかっこいいと思ってしまった。

結局俺のこんな力じゃどうしようもできないと思い知らされる。
守るためには、技術だけじゃなく知識も必要だということ。
金や権力はなくとも、知識があれば嘘で塗り固められた真実を証明できると父さんに教えてもらった。

そんなことを考えていると、突然スマホの着信音が鳴り出す。


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